今回は「音楽活動とお金」について書いてみようと思います。
音楽をやっていると、お金の話って時に敬遠しがちになる時もある。
僕自身もずっと「やりたいことやってるんだから自己責任で」というスタンスで基本やってきた。
昔のこと、
バンド始めた頃は、ライブハウスやイベント出演時、30分演奏でノルマが20枚とかよくあった。
チケット2500円なら5万円。
冷静に考えれば出演料を払ってるのと同じなんだけど、当時は「ノルマ」という言葉にすり替えられてて、正直それをお金として捉えてなかった。
お金というより人数、20人以上集めればペイ、それくらいの単純な話にしか思ってなかった。
振り返れば、お金の話を「野暮なもの」としてきた節もある。
けど実際は、お金って下世話なものじゃなくて、当たり前でクリーンなもの。
向き合わないからこそグレーが生まれる。
音楽に限らず、そういうとこで世の中いろんな問題があったりもする。
じゃあなぜ向き合えなかったかと考えると、当時はバンドで生活するなんて途方もなく遠いことに感じたから。
お金だけで活動を考えるとネガティブに行き着く。
だからどこか見ないふりで進行形を保ったりした。
でもあの頃は時代も良くて、「上に行けば現実が変わる」と本気で信じられる空気もあった。
少なくとも僕は勝手にそう信じてた。
だから多少の投資は当たり前だと思っていたし、夢に熱くなれた。
ただ、当然それは長くは続かない。
メンバーそれぞれに生活や価値観があるし、多くの仲間のバンドマンが消えていった理由の大半はお金だったと思う。
僕自身の根本的な考えは今も変わってない。
「やりたいことやってるんだから自己責任で」。
でもこの数年で強く思ったのは、その考えは人に押し付けた瞬間に破綻するし、組織もうまくいかなくなる。
逆に無条件で参加したいってミュージシャンもいるけど、そうなると責任の所在がぼやける。
だからこそ、その人の価値に対価をはっきりさせることが重要だと思うようになった。
今は時代も変わって、配信など個人で売上を作れる手段が新たに増えた。
ちゃんと活動と向き合ってるアーティストは、ちゃんとお金も大事に考えてるはず。
何でどう稼ぐか、そのお金をどう使うか。考えて動くことは避けられない。
今回こうして書いているのも、先週から自分のライブ活動を再開して、
どうせなら長く続けたいし、これまでの反省も活かしたい、と思ったから。
だからまずは自分に向けて整理してる。
思ったのは「自家発電のエネルギーだけに頼らない」ということ。
自分に対しても、関わる人に対しても。
想いだけで突っ走るのは危うい。
冷めてるんじゃなく、熱を生むために効率的にやるためにそう思う。
結局お金は誰にとっても大事で不変のものなんだから、前提として考えるのは当然のこと。
これまでは先行して考えてなかったり、二の次にしてた部分もあった。
気持ちこそが物事の進行や解決に最重要、とさえ考えてた。
人は千差万別。時として気持ちはアテにならない。
ただし、お金のことを考えるからといって夢が小さくなったり、イメージが縮こまるのは絶対に嫌。
本当にやりたいことは大抵お金が足りない。
その時にどうクリアするか。助けてくれる人がいるかもしれないし、気持ちで支えてくれる人もいるかもしれない。
大事なのは誠実であること。
さらに言えば、身近なミュージシャンにちゃんとお金が行き渡るように、自分が生み出せるものは生み出したい。
僕が有名なら話は早いんだけど、現状そうじゃないからこそ考える。
今の自分にできること、提案できることはあるはずだし、それを考え続けることも音楽活動の一部だと思ってる。
明後日は「Fab Live」というイベントを開催する。これも僕なりの提案の一つ。
グッズをよりアーティストの活動に活かせたら、ファンにとってもアーティストにとってもプラスになるんじゃないか。
音楽とこれまで接点のなかった企業と繋がることで、新しい発想が生まれるんじゃないか。
そんな思いで動いてる。
改めて思う。
お金があれば、人も物事も当たり前に動く。気持ちがなくても条件で人は動く。
これまでそれを悪とみなしてた自分もいたけど、最近はちょっと違う気もしてる。
音楽だけが特別じゃない。音楽は社会の一部であって、一般常識の感覚で捉えるべきなんだと思う。
それでも、一番大事にしたいのはやっぱり「熱」。
熱のない人間とは極力関わりたくはないし、熱こそが原動力。
偉そうに語ってきたけど、僕自身まだまだハングリーさが足りないところはある。
これはやりたくない、とか全然あるし。
例えばタレントじゃなく音楽で評価されたい、それをお金にしたい。
音楽そのものの価値がどんどんと失われていっているような気もする世の中で、
とても高望みだとは思うし、
人から見たら綺麗事かもしれないけど、
それでも僕は僕の価値観で進みたい。
自分の活動が続いていくために。ひょっとしたら仲間の力に少しでもなるために。
考え続け、提案し続けていく。
それを、改めてのこれからの僕の音楽活動にしていけたらと思います。